松井珠理奈ちゃん・渡辺美優紀ちゃんの移籍(兼任)構想の意味

発表から2週間ほど経過してそろそろある程度クールダウンしてきた頃かと思うので、この件について改めてちょっと書いてみます。


AKB48は初期の人たちを中心に約六年間、道なき道を切り開いて進んできました。やることがうまくいったりいかなかったり、すんなり進んだかと思えば壁にぶち当たって引き返したり、試行錯誤しながら進んできました。一方、AKB48の後輩やSKE48NMB48らは、先輩によって切り開かれて踏み固められた道を後ろから進んできました。劇場システム、握手会システム、etc.、AKB48が試みてうまくいった仕組みのみを取り入れてやってきました。切り開きながら進むのと、踏み固められた道を進むのとでは、当然後者の方がパフォーマンスが良く進行速度が速いわけで。


そして今回の松井珠理奈ちゃん・渡辺美優紀ちゃんの移籍(兼任)構想。これは、秋元氏(運営サイド)からの「SKE48NMB48はもう十分前に進んで、AKB48に追いつきつつある。つまりあなたたちの前に踏み固められた道はもはやほとんど残されていない。これからは道なき道を進むしかないんだよ。自分たちで新しいことをやるしかないんだよ。」というメッセージでもあるのでしょう。


NMB48の内外が比較的すんなりとこの話を受け入れているのは、おそらくNMB48の内外が物わかりがよいからではない。NMB48も踏み固められた道を進んでそれなりにうまくいっているが、まだまだ成功を確信するほど時間が経っていない。だから踏み固められた道ではなく道なき道を行くしかないと言われても比較的すんなり受け入れることができた。
ところがSKE48の方は踏み固められた道を進む期間が長く、それなりに成功体験をしてしまった。だから今後もこのままこれまでどおり進み続ければいいじゃないかと思う人も少なくないだろう。でも実際はその道を切り開いてきたAKB48の背中はすぐそこに見えていて、踏み固めてくれていた道は残りわずかしかない。


SKE48の今後の選択肢は大きく二とおりある。一つ目は足踏みをする。二つ目は道なき道を進む。
一つ目の足踏みをするというのは、これまでの繰り返しをするだけなので無駄にパワーを浪費することもないし、徒労に終わることもない。短期的には楽でパフォーマンスも良い可能性が高い。ただしこちらが足踏みをしている間も、周りのライバルたちは必死に道なき道を突き進んでいて、ある者は力尽き、ある者は漸進し、ある者はブレイクスルーするだろう。そして結果がどうであれそれぞれ足踏みしている人たちが得られない何かを得ているはず。結局それらライバルたちとの競争では中期的に苦しくなる可能性が高い。


二つ目の道なき道を進むのはとてもリスキーで、必死にやってもろくに見た目効果がない可能性も低くない。パフォーマンスもこれまでと比べて格段に悪い。でも道がない以上、前に進むには突っ込んでいくしかない。その進む方向がはたして正しいのか、誰も保証はできない。だから秋元氏も「やってみましょう」という言い方をする。AKB48はそうやって行きつ戻りつしながら進んできた。


これまで保証されたことをやってきたSKE48が、そういったやり方に対応できるのかどうか、今後の動向が楽しみです。