アイドルの人気とは?人気に関するシンプルモデル (基礎編)

アイドルにとって無視することの出来ないパラメータである「人気」。
アイドルは視聴者を魅了することで人気を得る。
では視聴者はどのように魅了されるのか。
視聴者を魅了するとどのように人気が上がってゆくのか。
人気獲得には様々な要素が複雑に絡み合うが、ここでは極力シンプルに考えてみる。

(1) 視聴者を魅了する力

視聴者を魅了するためにアイドルに備わっている力をここでは「能力」と呼ぶこととする。

「能力」には、
「ルックス」「スタイル」「ダンスパフォーマンス力」・・・
といった視覚的にわかりやすいものから、
「新鮮さ」「いじらしさ」「頭の回転の早さ」「プロ意識の高さ」「受け答えの巧さ」「人を楽しませる会話力」・・・
などわかりにくいものまで様々な要素があり、重要度もそれぞれ異なっている。

「能力」の各要素は、時系列変化も一定とは限らない。
「ルックス」のように、短期間にそう大きくは変わらないものもあれば
「新鮮さ」のように活動期間が経つにつれて劇的に失われていく、つまり一時的なものもある。
「受け答えの巧さ」のような技術的な要素は活動期間が長くなるにつれて高くなる場合が多い。

これら重要度が異なり、時間が経つにつれて変動もする様々な要素が合計されて、その時点のそのアイドルの「能力」が確定する。

アイドルの能力 = 視聴者を魅了するためにアイドルに備わっている力
        = 能力を構成する各要素の合計


(2) 能力のアピール

視聴者を魅了する「能力」を持っていても、その「能力」を直接やメディアによってアピールして視聴者に知らしめなければ、視聴者を惹き付けることはできない。
ここで、アピールすることによって視聴者に伝わった能力の割合を「浸透率」、視聴者に伝わった能力を「魅力」と呼ぶことにする。
浸透率は、直接あるいはメディアでアピールする機会が多いほど、その上昇速度は速くなる。

アイドルの魅力 = アイドルが持つ能力のうち、視聴者に伝わった分
        = 能力 × 浸透率

たとえば
能力が100、浸透率が50%のアイドルの魅力は50
能力が200、浸透率が10%のアイドルの魅力は20
である。
この場合、たとえ後者の方が能力が上でも、視聴者からは前者の方が魅力的に映る。


(3) 視聴者の状態遷移

アイドルの魅力はアイドルの能力と視聴者への能力の浸透率で決まることを示したが、次にそれがどのように「人気」に結びつくのかを考える。

「人気が高い」とは、言い換えると
「そのアイドルに対して、時間や金銭など自分の持つリソースを費やしてくれる視聴者を数多く獲得している」
ということ。

ここでそのアイドルに対して、
「時間や金銭などの自分の持つリソースを費やしてくれる視聴者」を「ファン」、
「ファン以外の視聴者」を「一般人
と呼ぶことにする。

視聴者 = ファン + 一般人

視聴者は、はじめは「一般人」の状態だが、ある一定レベル以上の魅力を知ることで、そのアイドルの「ファン」の状態に遷移する。この「一般人」から「ファン」に状態遷移するアイドルの魅力の高さを「しきい値(閾値)」と呼ぶことにする。

しきい値 = 視聴者を「一般人」から「ファン」に状態遷移させる、
      アイドルの魅力の高さ

しきい値は視聴者によって様々であるため、しきい値の分布は、魅力に対して正規分布をとると思われる。
これより人気は、魅力の増加につれて初めは緩やかに上昇し、しきい値の平均値の近辺で急激に上昇し、ファン数がアイドルファン層の人数的な上限に近づくにつれて上昇は鈍化することとなる(下図参照)。また、しきい値の分布はその時点のアイドル全般の魅力の高さに応じて変動する。

ここで重要なのは
・魅力が増加するにつれて人気も上がるが、魅力と人気は必ずしも比例はしない
・ある程度の人気を得るには、しきい値の平均値近辺まで魅力を上げる必要がある
・アイドルが乱立したり、アイドル界が成熟するほど、しきい値の分布も魅力の高い方に移動する(=人気を得にくくなる)。

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